Today’s Case
前回の日本語探偵では、「ください」「おねがいします」について、このように学びました。
「ください」→動詞と一緒に使われることが多い
「おねがいします」→基本的に名詞と一緒に使われる
でも、ここで疑問が浮かび上がりました。

レストランなどで水がほしいとき、「水をください」と言えるよね。
「ください」と「おねがいします」の使い方が、まだはっきりしないなあ。
Decoder’s Notes
「ください」→動詞と一緒に使われることが多い
「おねがいします」→基本的に名詞と一緒に使われる

「お入りください」と「お入りおねがいします」の場合。
上記のルールによると「お入り」は動詞「入る」からできているから、「お入りください」が正しい。
でも「水をください」の場合は「名詞+ください」という文の構造だ。
「ください」と「おねがいします」の謎について、もっと深堀りできそうだ。
では、例文をみながら一緒に考えていきましょう。
| 水をください。 (レストランなどで注文するとき) | 水をおねがいします。 (レストランなどで注文するとき) |
| これをください。 (レストランなどで注文するとき) | これをおねがいします。 (レストランなどで注文するとき) |
| 考える時間をください。 | 考える時間をおねがいします。 |
| 禁煙席をください。 | 禁煙席をおねがいします。 |
| 日本病院まで、ください。 (タクシーの運転手に行先を伝える表現) | 日本病院まで、おねがいします。 (タクシーの運転手に行先を伝える表現) |
| お入りください。 | お入りおねがいします。 |
| 名前を書いてください。 | 名前を書いておねがいします。 |
どれが正しい使い方で、どれが間違っている使い方だろうか…?
実際の会話を調べてみると、このような結果になりました。
| 水をください。→ 〇 (レストランなどで注文するとき) | 水をおねがいします。→ 〇 (レストランなどで注文するとき) |
| これをください。→ 〇 (レストランなどで注文するとき) | これをおねがいします。→ 〇 (レストランなどで注文するとき) |
| 考える時間をください。→ 〇 | 考える時間をおねがいします。→ × |
| 禁煙席をください。→ × | 禁煙席をおねがいします。→ 〇 |
| 日本病院まで、ください。→ × (タクシーの運転手に行先を伝える表現) | 日本病院まで、おねがいします。→ 〇 (タクシーの運転手に行先を伝える表現) |
| お入りください。→ 〇 | お入りおねがいします。→ × |
| 名前を書いてください。→ 〇 | 名前を書いておねがいします。→ × |
さあ、なぜこんな結果になるのでしょう?
まずは「名詞+ください」「名詞+おねがいします」のパターンを考察していきましょう。
「名詞+ください」も「名詞+おねがいします」も、どちらも正しい場合もあれば、そうでない場合もあることがわかります。

ここで重要なのは、名詞が何を表しているかだ。
名詞+ください/おねがいします
まずはシンプルに考えてみましょう。
名詞に関していうと、基本的に次のように考えることができます。
「モノ」がほしいとき→「ください」
「モノ」あるいは「サービス」がほしいとき→「おねがいします」
| ください | おねがいします | |
| モノ | 〇 | 〇 |
| サービス | × | 〇 |
「水をください」「水をおねがいします」
「水をください」のように、水という「モノ」がほしいときは、「ください」を使います。
「これをください」も同様です。
一方「水をおねがいします」では、「水」という「モノ」がほしいという意味にも、
「コップに入った水を持ってきてください」という「サービス」がほしいという意味にもなり得ます。
「これをおねがいします」も同様です。
そのため「水をください」も「水をおねがいします」も、どちらもOKとなります。
「考える時間をください」「考える時間をおねがいします」
一見「ください」でも「おねがいします」でも、どっちでも良さそうにみえます。
しかし、実際に使われているのは「考える時間をください」という表現だけでした。なぜでしょう?

とりわけ「自分のものになるもの」に対して「名詞+ください」が使えるみたいだ。
「考える時間をください」という文の場合、「時間」そのものは水のような目に見えるモノではないんだけど、「時間」を自分のものにしたいからね。
ほかの例として、「休みをください」なども挙げらるぞ。
「水をおねがいします」のように「モノ+おねがいします」も成り立ちます。
しかし、どちらかというと、「サービス」がほしいときに「おねがいします」がよく使われると言えそうです。
「禁煙席をください」「禁煙席をおねがいします」
こちらの場合、「禁煙席をおねがいします」が正しい表現です。
禁煙席そのものは手に入れることはできないですよね。「禁煙席に座る」というサービスを受けたいのです。そのため、「禁煙席をおねがいします」が正しい表現となります。
「日本病院まで、ください」「日本病院まで、おねがいします」
これも禁煙席の場合と同様で、「日本病院まで、おねがいします」が正しい表現となります。
「日本病院まで、おねがいします」は、タクシー運転手に自分が行きたい場所を伝える場面でよく使われる文です。日本病院まで連れて行ってほしいという「サービス」を受けたいのです。
よって、「日本病院まで、おねがいします」が正しい表現となります。

ここまでが名詞と一緒に使う場合についての考察だ。
次は、動詞と一緒に使う場合はどうか、一緒に考えていこう。
動詞+ください
「名前を書いてください」「名前を書いておねがいします」
これは「書く」という動詞と一緒に使われています。このルールを思い出してください。
「ください」→動詞と一緒に使われることが多い
「おねがいします」→基本的に名詞と一緒に使われる
そう、動詞と一緒に使われるのは「ください」のほうでしたね。
そのため、「名前を書いてください」が正しい表現となります。
The Clue
今まで一緒に考えてきたことをまとめると、こうなります。
| ください | おねがいします | |
| モノ | 〇 特に自分のものになるものに対して | 〇 |
| サービス | × | ○ |
| 動詞 | 〇 | × |
ここで、Oliverがあることについて疑問をもちました。

街での会話で、こんな会話が聞こえたんだ。
「これを買ってください!おねがいします!」
この文章は正しいの?「これ、買ってください!ください!」じゃないの?

いいところに気がついたな。
「これを買ってください!おねがいします!」は正しい文章だ。
理由は、「おねがいします」はそれだけでも文章として成り立つものなのだが、「ください」はそれだけでは文章として成り立たないからだ。
「ください」を使う場合は、「何がほしいのか」という目的語をちゃんと言うと、より自然な日本語になるぞ。

そうなんだ!
Today’s Field Mission

シーンに合わせて「ください」「おねがいします」を使って実際に会話してみよう!
間違いをおそれるな。一番大切なことは、会話をしたい、伝えたいというあなたのパッションなんだから。
Case Solved

それでは、また次の事件で会いましょう。

