探偵ファイル 5:「ください」vs.「おねがいします」この謎を徹底捜査!

もう迷わない! 「ください」「おねがいします」 この謎を徹底捜査 Blog

Today’s Case

前回の日本語探偵では、「ください」「おねがいします」について、このように学びました。

「ください」→動詞と一緒に使われることが多い
「おねがいします」→基本的に名詞と一緒に使われる

でも、ここで疑問が浮かび上がりました。

Oliver
Oliver

レストランなどで水がほしいとき、「水をください」と言えるよね。
「ください」と「おねがいします」の使い方が、まだはっきりしないなあ。

Decoder’s Notes

「ください」→動詞と一緒に使われることが多い
「おねがいします」→基本的に名詞と一緒に使われる

Detective
Detective

「お入りください」と「お入りおねがいします」の場合。
上記のルールによると「お入り」は動詞「入る」からできているから、「お入りください」が正しい。

でも「水をください」の場合は「名詞+ください」という文の構造だ。
「ください」と「おねがいします」の謎について、もっと深堀りできそうだ。

では、例文をみながら一緒に考えていきましょう。

水をください。
(レストランなどで注文するとき)
水をおねがいします。
(レストランなどで注文するとき)
これをください。
(レストランなどで注文するとき)
これをおねがいします。
(レストランなどで注文するとき)
考える時間をください。考える時間をおねがいします。
禁煙席をください。禁煙席をおねがいします。
日本病院まで、ください。
(タクシーの運転手に行先を伝える表現)
日本病院まで、おねがいします。
(タクシーの運転手に行先を伝える表現)
お入りください。お入りおねがいします。
名前を書いてください。名前を書いておねがいします。

どれが正しい使い方で、どれが間違っている使い方だろうか…?
実際の会話を調べてみると、このような結果になりました。

水をください。→
(レストランなどで注文するとき)
水をおねがいします。→
(レストランなどで注文するとき)
これをください。→
(レストランなどで注文するとき)
これをおねがいします。→
(レストランなどで注文するとき)
考える時間をください。→考える時間をおねがいします。→ ×
禁煙席をください。→ ×禁煙席をおねがいします。→
日本病院まで、ください。→ ×
(タクシーの運転手に行先を伝える表現)
日本病院まで、おねがいします。→
(タクシーの運転手に行先を伝える表現)
お入りくださいお入りおねがいします。→ ×
名前を書いてください。→名前を書いておねがいします。→ ×

さあ、なぜこんな結果になるのでしょう?

まずは「名詞+ください」「名詞+おねがいします」のパターンを考察していきましょう。
「名詞+ください」も「名詞+おねがいします」も、どちらも正しい場合もあれば、そうでない場合もあることがわかります。

Detective
Detective

ここで重要なのは、名詞が何を表しているかだ。

名詞+ください/おねがいします

まずはシンプルに考えてみましょう。
名詞に関していうと、基本的に次のように考えることができます。

「モノ」がほしいとき→「ください」
「モノ」あるいは「サービス」がほしいとき→「おねがいします」

くださいおねがいします
モノ
サービス×
「水をください」「水をおねがいします」

「水をください」のように、水という「モノ」がほしいときは、「ください」を使います。
「これをください」も同様です。

一方「水をおねがいします」では、「水」という「モノ」がほしいという意味にも、
「コップに入った水を持ってきてください」という「サービス」がほしいという意味にもなり得ます。
「これをおねがいします」も同様です。

そのため「水をください」も「水をおねがいします」も、どちらもOKとなります。

「考える時間をください」「考える時間をおねがいします」

一見「ください」でも「おねがいします」でも、どっちでも良さそうにみえます。
しかし、実際に使われているのは「考える時間をください」という表現だけでした。なぜでしょう?

Detective
Detective

とりわけ「自分のものになるもの」に対して「名詞+ください」が使えるみたいだ。
「考える時間をください」という文の場合、「時間」そのものは水のような目に見えるモノではないんだけど、「時間」を自分のものにしたいからね。

ほかの例として、「休みをください」なども挙げらるぞ。

「水をおねがいします」のように「モノ+おねがいします」も成り立ちます。
しかし、どちらかというと、「サービス」がほしいときに「おねがいします」がよく使われると言えそうです。

「禁煙席をください」「禁煙席をおねがいします」

こちらの場合、「禁煙席をおねがいします」が正しい表現です。

禁煙席そのものは手に入れることはできないですよね。「禁煙席に座る」というサービスを受けたいのです。そのため、「禁煙席をおねがいします」が正しい表現となります。

「日本病院まで、ください」「日本病院まで、おねがいします」

これも禁煙席の場合と同様で、「日本病院まで、おねがいします」が正しい表現となります。

「日本病院まで、おねがいします」は、タクシー運転手に自分が行きたい場所を伝える場面でよく使われる文です。日本病院まで連れて行ってほしいという「サービス」を受けたいのです。
よって、「日本病院まで、おねがいします」が正しい表現となります。

Detective
Detective

ここまでが名詞と一緒に使う場合についての考察だ。
次は、動詞と一緒に使う場合はどうか、一緒に考えていこう。

動詞+ください

「名前を書いてください」「名前を書いておねがいします」

これは「書く」という動詞と一緒に使われています。このルールを思い出してください。

「ください」→動詞と一緒に使われることが多い
「おねがいします」→基本的に名詞と一緒に使われる

そう、動詞と一緒に使われるのは「ください」のほうでしたね。

そのため、「名前を書いてください」が正しい表現となります。

The Clue

今まで一緒に考えてきたことをまとめると、こうなります。

くださいおねがいします
モノ
特に自分のものになるものに対して
サービス×
動詞×

ここで、Oliverがあることについて疑問をもちました。

Oliver
Oliver

街での会話で、こんな会話が聞こえたんだ。
「これを買ってください!おねがいします!」

この文章は正しいの?「これ、買ってください!ください!」じゃないの?

Detective
Detective

いいところに気がついたな。

「これを買ってください!おねがいします!」は正しい文章だ。
理由は、「おねがいします」はそれだけでも文章として成り立つものなのだが、「ください」はそれだけでは文章として成り立たないからだ。

「ください」を使う場合は、「何がほしいのか」という目的語をちゃんと言うと、より自然な日本語になるぞ。

Oliver
Oliver

そうなんだ!

Today’s Field Mission

Detective
Detective

シーンに合わせて「ください」「おねがいします」を使って実際に会話してみよう!

間違いをおそれるな。一番大切なことは、会話をしたい、伝えたいというあなたのパッションなんだから。

Case Solved

Detective
Detective

それでは、また次の事件で会いましょう。